歯周病

歯周病について

歯周病は、特定の病名ではなく、歯周組織に発生する慢性疾患の総称のことを指します。「歯周疾患」「ペリオ」とも呼びます。歯周病のおもな病名としては「歯肉炎」「歯周炎」が挙げられ、これらが歯周病の2大疾患であるとされています。

歯周病をほうっておくとどうなるか

歯周病の名前の通り、歯周組織だけでなく歯を失うことにもつながります。そして、歯周病菌が血管や肺に入り込むことで心疾患や肺炎の原因ともなります。また、糖尿病の原因となったり妊娠にも深く関わることになります。このように、歯周病は放置していると口内疾患だけでなく、全身に様々な症状をもたらすことになるのです。

歯周病の原因

歯周病の原因は、「歯周病菌」という細菌の感染によって引き起こされます。歯と歯肉の間にある歯肉ポケットの歯磨きがきちんとできていないと、その部分に歯周病菌が停滞してしまい、歯肉の近縁が炎症を起こすことが歯周病の始まりです。

歯周病の進行

歯周病の進行段階は、歯肉炎→軽度歯周炎→中等度歯周炎→重度歯周炎という段階に分けられます。


0~2mmの場合健康で問題ない歯ぐきであるか歯肉炎であることが多い
2~4mmの場合歯周病の初期段階
4~6mmの場合歯周病の中期段階
6mm以上の場合治療に時間のかかるほど進行してしまった歯周病

健康な歯肉

健康な歯ぐきは引き締まっていて、淡いピンク色をしています。毎日の正しいブラッシングと歯科医院での定期的な歯石除去(スケーリング)で健康な状態を維持していきましょう。


歯肉炎

歯磨きや、固いものを食べたときに出血する場合があります。歯の周りにある歯周ポケットと呼ばれる溝が広がり、歯垢がたまりやすくなっています。


軽度の歯周病

症状

初期の段階では歯垢や歯石が溜まり始めます。また、歯ぐきの炎症によってブラッシングの際に出血を伴うことがあります。

治療法

状況に合わせたブラッシングの指導に加え、初期の段階では、スケーラーと呼ばれる医療機器を用いて、ブラッシングでは落とせないような歯垢や歯石の沈着を取り除きます。


中程度の歯周病

症状

中度の段階では歯ぐきの炎症や出血が悪化します。また、この時期から口臭もひどくなります。さらに、歯を支えている骨が溶け始めるため、歯のぐらつきも起こり始めます。

治療法

歯の表面だけでなく、歯周ポケットの中の歯垢や歯石を取り除くことが必要になります。キュレットという専用の機器を用いて、歯周ポケット内の歯垢や歯石を取り除き、最後に歯を滑らかにして歯垢の付着を防ぐために磨き上げます。この治療法を「スケーリング・ルートプレーニング」といいます。


重度の歯周病

症状

さらに歯周病が進行すると歯ぐきが大きく下がり、顎の骨がかなり溶かされることで歯のぐらつきはより悪化します。歯ぐきの痛みや出血はさらに悪化し、膿が出ます。最終的には歯を支えている顎の骨が完全に溶かされ、歯は抜け落ちてしまいます。

治療法

歯周病が重度の場合、スケーリング・ルートプレーニングだけでは全ての歯垢や歯石を取り除けないため、歯ぐきを切開して歯ぐきを露出した上で歯垢や歯石を取り除く「フラップ手術」を行います。

定期的なケアが大切

歯周病は、予防のためにも再発予防のためにも「ケア」が必要になります。特に歯周病の治療が終わった後は、再発予防のために定期的なメンテナンスが必要になります。自宅での適切なブラッシングだけでは、どうしても目に見えにくい場所の歯垢や歯石を見逃してしまいます。なので、定期的に歯科検診を受けることで、仮に歯周病になっていたとしても早い段階で発見することができます。早期発見は、簡単な治療やブラッシング指導だけで治療が完了し、歯や歯ぐきを良好な状態に保つことができます。ぱっと見だけでは、実はあちこちに歯垢が溜まっているということは十分に考えられます。面倒臭がらずに、定期的に歯科検診を受けることで歯の健康を保ち、年齢を重ねてからの歯の健康状態の差を勝ち取ることができます。

簡単歯周病チェック

以下の内容に当てはまる項目が多い場合、一度歯科検診を受けてみることを強くお勧めします。